音響熟成木材

音楽と常温で熟成させた日本杉

IZANAGIが惚れ込んだ地球の財産である日本杉。

鹿児島の豊かな山々に育まれた、力強くしなやかな杉。

音響熟成木材の原木に選ばれるのは、すべて南九州産の杉。雨と霧、そして台風。ときに厳しく、ときに豊かな気候に鍛えられたこの地の杉は、樹脂分をたっぷりと蓄え、水にも腐敗にも強い特性を宿しています。屋久島の縄文杉が数千年を超えて立ち続けるように、南九州の杉には圧倒的な生命力と風土に根ざした強さがあります。

また、南九州特有の活発なシロアリに耐えるための天然の防蟻成分を内に秘めており、かつては江戸時代の船材「弁甲材」としても重宝された、日本の建築文化を支えてきた木材。学名「クリプトメリア・ジャポニカ(Cryptomeria japonica)」に込められた意味は「隠された日本の財産」。

雲海,霧島連山,izanagi

荘厳な雲海と霧島連山

杉は、日本列島という特異な気候と地形の中で、何千年もの時をかけてその性質を磨きあげてきた木。豪雨、台風、湿気、寒暖差、噴火。あらゆる過酷さをたくましく乗り越え、水をはじき、ねばりを持ち、命を支える力を蓄えてきたのです。

そして、古来より人びとのすぐそばに在り続け、日本人の暮らしと精神に深く結びついてきたのが杉です。神社の境内に茂る鎮守の森や御神木として、また船の構造や舳先(へさき)に、そして民家の構造材・内装材としても広く使われてきました。けれど、その存在が当たり前になったとき、人はその価値を見落としてしまう。

西洋の植物学者たちがこの木に出会ったとき、彼らは驚嘆しました。「これほどの木が、なぜ、今まで知られてこなかったのか」と。だからこそ「クリプト(隠された)」という言葉を、この木に贈ったのです。

それはまさに、地球の財産であり、IZANAGIが大切にする「目に見えない豊かさ」とシンクロします。

耳を澄ませば、霧島を望む森に音楽が響きわたる。

木は、生きものである。効率を優先させた一般的な機械乾燥では、高熱で一気に水分を奪うことで生産性を高めている。しかし、それによって木は命を失ってしまうのです。100℃以上の高温で急激に乾燥させると、細胞が破壊され、木が本来持っている香りやうるおい、しなやかさが失われてしまう。

私たちIZANAGIは、効率ではなく、生命を選択しました。

それが「音響熟成」です。鹿児島の深い森の奥にたたずむ工場では、その日の気候や室温に合わせて、木の様子を一本ごと観察しながら乾燥条件を調整。そして、クラシック音楽が静かに流れる熟成庫で、手間を惜しまずに杉本来の性質を守りながら、自然な状態で建材へじっくりと熟していきます。

樹脂分と精分はそのままに、保湿・保水・防菌の性質を守りながら、上品なツヤのある質感と杉特有の香りを深めていく。生命と共鳴する周波数(音楽)を味方につけたこのプロセスによって、ただの建材ではなく「人と調和し、呼吸する素材」に生まれ変わります。

POINT生きている音響熟成木材は、時を重ねるほどに風合いを増し、深みを帯びていく素材。美しさが育つ床は、一般フローリングのように張り替えの必要がなく、資産価値としても量産品の建材をはるかに超えていくのです。

生きた杉とともに暮らし、免疫力を高めよう。

杉に本来備わっている抗菌・抗酸化性・防カビを持つ揮発性成分(フィトンチッド、テルペン類)が、音響熟成によって損なわれることなく保たれています。これらの成分は、単に香りとして心地よさを与えるだけではありません。

近年の研究により、これらの成分に継続的に触れることで、IgA(免疫グロブリンA)と呼ばれる物質の分泌が促進されることが明らかになっています。IgAは、鼻や口、喉の粘膜に存在し、ウイルスや細菌の侵入を防ぐ第一の防壁となるもの。つまり、杉が放ちつづける成分が、人の免疫機能を物理的に高める可能性を秘めているのです。

免疫という見えない盾がしっかりと機能すれば、季節の変わり目も、人混みも、怖くない。感染症を寄せつけず、アレルギーや体調の波にも左右されにくくなる。調和した環境で暮らすことで、身体は元氣を取り戻していく。

音響熟成木材を活かすためには、人工的な加工をせず、素材のままがいい。塗装も、ワックスもしない。それは、杉がもつ香りや触感、湿度を調える力は、表面を覆わずにこそ最大限に発揮されることを知っているから。

だからこそ、私たちはこの姿勢に共感してくださる方と、家づくりをともにしたいと考えています。杉の本質を理解し、可能性を信じ、その価値を本当に必要とする人にのみ、IZANAGIは、その扉をひらいています。

素足で感じるうずくりの床と38mmの意味。

強さとしなやかさを備えた音響熟成木材は、床・壁・天井だけでなく、構造材や梁、親父柱(丸太・大黒柱)にも使います。さらには、職人の手で一つひとつ丁寧に仕立てる建具や家具もオーダーできる。この木材の性能は、第三者機関による圧縮・引っ張り・曲げの試験でも高い評価とエビデンスを獲得済みです。

一般的な高温乾燥材に比べて圧縮・引張・曲げすべての強度で優れた、唯一無二の木材を存分に使います。

年輪を浮かび上がらせる「うづくり加工」は、木が歩んできた時の流れを、独自に磨き上げてきた加工技術で、表情として床に刻む技法。その凹凸が足裏にやさしく触れ、すべりにくさを生み出し、幼いこどもや年配の方にも安心を届けます。

凹凸から生まれる微細な刺激は、足のツボをやわらかくほぐし、血の巡りを整え、冷えを和らげてくれる。体感温度が人肌に近い音響熟成木材は、寒さの深まる季節にも、素足でいたくなるぬくもりがあります。

そして、光をふわりと受け止める木肌の陰影は、目にやさしく、心を穏やかにしてくれる。

私たちがすすめる「うづくりの床」は、厚さ38mm。これには大きな理由があって、まずは、合板を使わずに床を仕上げられること。そして、構造としての芯の強さと、歩いたときにわずかにたわむ柔らかさ。厚すぎれば無骨に、薄すぎれば脆くなる。試行錯誤を繰り返してたどり着いた、人と木をほどよく結ぶバランスが38mmなのです。

素足で歩いた時のちょうどよさ、素朴だけれど暮らしがうるおう贅沢。

その絶妙すぎる感覚を、あなたの暮らしに迎えてみませんか。

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